拠点病院とは

ごあいさつ

~患者さんの病状に応じて適切な移植を実施できるように~

厚生労働省「造血幹細胞移植医療体制整備事業」として2013年度より「造血幹細胞移植推進拠点病院」が選定されました。

造血幹細胞移植推進拠点病院は、造血幹細胞移植に携わる専門的な医師や医療従事者を育成するための研修、専任の造血細胞移植コーディネーターによる移植医療関係者や関係機関との連絡調整でスムーズな移植の実施、骨髄採取までの期間短縮、地域の医療機関の医療従事者とのカンファレンスや勉強会の開催、診療支援などを行います。
そうすることで、すべての患者さんが、病気の種類や病状に応じて3種類の移植法(骨髄採取、末梢血幹細胞採取、臍帯血移植)のうち適切な移植法を実施でき、移植を受けた患者さんがどの地域に居住していても質の保たれた生活を送り、長期のフォローアップを受ける医療体制を整備することを目指します。

同種造血細胞移植は致死的な血液疾患に対して治癒をもたらす治療ですが、重篤な合併症や長期にわたる生活の質(QOL)の低下などもあります。 当院では、医師、看護師、造血細胞移植コーディネーター(HCTC)、管理栄養士、理学療法士、医学物理士、臨床検査技師、臨床工学士、メディカルソーシャルワーカーなど 多くの医療スタッフが「移植サポートチーム」として移植医療に関わり、患者さん・ドナーさんだけではなく、スタッフにとっても「質の高いやさしい移植」を目指しています。

当大阪公立大学医学部附属病院は、2013年に最初に厚生労働省に選定された3つの造血幹細胞移植推進拠点病院の中の1つであり、2019年12月末までに717例の同種造血幹細胞移植、うちpostCYを用いたHLA半合致移植は150例を行っております。 今後も多くの患者さんの命を救えるように、移植成績の向上にさらに努めて参ります。

2019年、事業内容の見直しが行われ新たな基準時での再公募が行われました。それにより近畿地区は引き続き大阪公立大学医学部附属病院が拠点病院に決定いたしました。
また、見直しにより地域連携事業の拡大が必要となり、各地区の詳細な状況把握が必要なため新たに拠点病院と協力して事業に取り組む『造血幹細胞移植推進地域拠点病院』が11施設制定されました。

  • 滋賀医科大学附属病院
  • 京都大学医学部附属病院
  • 京都府立医科大学病院
  • 大阪国際がんセンター
  • 大阪市立総合医療センター
  • 大阪母子医療センター
  • 奈良県立医科大学病院
  • 和歌山県立医科大学医学部附属病院
  • 兵庫医科大学病院
  • 神戸大学医学部附属病院
  • 大阪大学病院医学部附属病院

造血幹細胞移植医療体制整備事業

厚生労働省が進める造血幹細胞移植医療体制整備事業は、
『白血病等の造血機能障害に対する有効な治療法である造血幹細胞移植を受けようとする患者が、どの地域のどの病院においても、疾病の種類やステージに応じた最適な造血幹細胞移植を受けることができ、さらに造血幹細胞移植を受けた患者が、どの地域に居住していても、質の保たれた生活を送り、長期のフォローアップを受けることができる医療提供体制を構築することを目的としています。』(厚生労働省ホームページ「造血幹細胞移植医療体制整備事業について」から引用)と定義されています。

 患者さんに、より早く、より適切な治療を受けてもらうための取り組みです

造血幹細胞移植という治療は治癒の可能性が上がるものの合併症リスクが大きいため、移植という治療法を選択するかどうか 家族と相談し、最終的には自分で決めていく必要があります。
移植という治療が選択肢に上がったら、早めに話を詳しく聞いたうえで受けるかどうか決めていく必要があります。
また、造血幹細胞移植には健康なドナーが必要です。ドナーの準備にも時間がかかる為、医師や看護師、移植コーディネーターと 相談しながら準備をしていきましょう。
移植していない病院で治療していても、治療が遅れることがないよう紹介していける体制を地域で目指しています。

 地域の医療機関の連携が重要

患者さんが適切な時期に移植が選択できるよう、地域医療を支える医師が適切な時期に移植施設へ紹介していけるように、造血幹細胞移植医療に関する基本的な知識を身に付けていかなければなりません。
当院では地域連携支援事業として、移植適応や移植後について相談をうける体制を整備してます。 移植後は患者さんが就学、就労しながら体調不良時にはすぐに近隣の施設で受診できるようかかりつけ医を自宅や職場の近くにもち、移植施設や拠点病院がその支援をしていく体制の構築が必要と考えます。

 全ての移植法を実施できる拠点病院

造血幹細胞移植には移植する幹細胞源により「骨髄移植」、「末梢血幹細胞移植」、「臍帯血移植」の3つの移植方法があります。病気の種類や治療の効果、合併症の状況、年齢等によって、どの移植方法を選ぶかが変わってきます。
故に、状態に応じて臨機応変に対応できるようこの3つの移植方法のすべてを実施できる高度な医療技術と設備をもつ医療機関を、地域の造血幹細胞移植医療の中核的存在と位置付けています。
また、造血細胞移植推進拠点病院ではこのような移植医、スタッフの育成の為研修も実施しています。

 中核的な病院の拠点病院としての役割

造血幹細胞移植推進拠点病院は日本のどこにいてもだれでも安心・安全に移植治療が受けられるよう地域の中核となる病院の事です。
専門的な医療スタッフの育成や、地域の医療従事者に対する造血幹細胞移植医療の啓蒙と研修、移植後も患者さんが質 の高い生活が送れるよう社会とつながり、復帰できる環境づくりを支援しています。

 移植後の生活に目を向けた支援体制

地域内で移植を受けた患者さんが長期的にフォローアップを受けられるように、必要時には医師や看護師を派遣するなどの診療体制支援を行います。また、地域の医療機関の医療従事者も参加する、造血幹細胞移植に関する連絡会議等を開催しています。
患者さんや地域の医療機関等からの相談対応、骨髄バンク・臍帯血バンク・日本赤十字社等との連携、造血幹細胞移植に関する情報提供を行うための地域連携支援センターを設置しています。また、地域連携支援センターには就労支援の窓口を設置し、造血幹細胞移植を受けた患者さんからの就労支援等にも対応しています。

当院の取り組み

  • 移植医師の育成の為、「造血幹細胞移植ポケットマニュアル」を作成
  • LTFU外来看護師研修の為「同種造血幹細胞移植後フォローアップ 」 の作成
  • 移植後手帳の普及と地域連携支援センターの普及のためのポスター作成
  • かかりつけ医向けの「造血幹細胞移GVHDアトラス」の作成
  • 骨髄バンク近畿事務局との意見交換会の開催
  • 採取調整WEBシステムの構築
  • 近畿地区ブロック会議の共同開催